日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
Helicobacter pylori除菌による胃X線所見の変化と除菌診断の有用性に対する考察
大橋 憲嗣森 昭裕河合 洋美林 晋太郎伊藤 隼湯村 崇之蜂谷 紘基
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2018 年 56 巻 1 号 p. 11-23

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抄録

【目的】胃X線検査のHelicobacter pylori(H.pylori)除菌による所見変化を検討し, 除菌後例に対するH.pylori胃炎診断フローチャート(H.pylori胃炎FC)単独診断の有用性を評価した。
【方法】当院胃X線検診にてH.pylori胃炎を診断, 除菌後に胃X線検診を続けている除菌群74人と, 未除菌群45人の胃X線所見(胃体部ひだ太さ, 胃体部粘膜性状, 胃体下部ひだ消失)を後ろ向きに比較した。また, 除菌後の胃X線検査にH.pylori胃炎FCを仮適用し感度を算出した。
【結果】除菌群のひだ太さは1年後, 2年後で平均1.18mm, 1.67mm縮小した。粘膜性状の粗造型は全例中間型に改善したが, 中間型は65.7%が変化しなかった。ひだ消失なしの21.4%がひだ消失ありに逆行性変化した。除菌後H.pylori胃炎FC診断は感度16.2%と低値であった。
【結論】H.pylori除菌による胃X線検査の変化は胃体部ひだ太さの縮小が最も有用性が高かったが, 除菌後のH.pylori胃炎FC単独診断は不適であった。

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© 2018 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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