日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
超音波検診における膵の描出程度に影響する因子の検討
関口 隆三桑島 章神田 泰一板垣 信生
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2018 年 56 巻 4 号 p. 508-517

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抄録

腹部超音波検診受診者42,789名を対象に, 膵の描出程度に影響する因子について検討した。被験者の加齢, 男性, 肥満がそれぞれ膵の描出不良となる背景因子であることが統計学的有意差を持って示された(p<0.0001)。加齢に伴い膵の描出程度が不良となる割合は男女ともに増加し, 男性は女性に比べ全年齢層において膵の描出程度が不良であった。BMIの値によらず膵の描出程度は女性が男性より良好であった。BMIが高くなるにつれ膵の描出程度は男女ともに不良となり, BMIが25以上の肥満群では男女ともに膵の描出程度が良好な例は少なく, 男女のわずか1.3%であった。18名の検査士の経験年数や認定検査士資格の有無と膵の描出程度との間に相関は認められなかった。しかし経験年数1年の検査士の膵の描出良好例は他の3年以上の経験を有する検査士に比べ低く, 膵描出においては1年の経験では不十分と思われた。膵描出の向上に向けた研修や膵描出が十分にできるまでは膵に対してのダブルチェックシステムの導入などの対策が必要と思われる。

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© 2018 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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