日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
Print ISSN : 1880-7666
ISSN-L : 1880-7666
原著
ラテックス法によるHelicobacter pylori抗体価測定の診断精度の検討
高橋 真美山道 信毅堀合 晴美三木 一正
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 58 巻 5 号 p. 402-411

詳細
抄録

【目的】ラテックス法試薬(LZテスト‘栄研’H.ピロリ抗体:栄研L,LタイプワコーH.ピロリ抗体・J:和光L)の診断精度を検討する。

【方法】検診受診者899名の血清を用い,標準であるEプレート‘栄研’H.ピロリ抗体II(カットオフ3 U/ml:E-plate3)を対照に比較解析した。

【結果】内視鏡的Helicobacter pylori感染診断に基づくE-plate3の感度・特異度・偽陰性率は84.7%・97.0%・15.3%であった。栄研Lの感度は68.5%とE-plate3に比べ有意に低く,特異度は98.2%と同等,偽陰性率は31.5%と有意に高かった。和光Lの感度は83.8%と同等,特異度は92.6%と有意に低く,偽陰性率は16.2%で同等であった。胃がんリスク層別化検査の偽A群率は,E-plate3の13.5%に比べ,栄研Lは27.9%と有意に高く,和光Lは14.4%と同等であった。

【結論】E-plate3に比べ栄研Lの感度は有意に低く,偽陰性率・偽A群率は有意に高かった。和光Lは感度・偽陰性率・偽A群率のいずれもE-plate3と同等であった。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
前の記事 次の記事
feedback
Top