2020 年 58 巻 6 号 p. 983-995
【背景】Esophagogastroduodenoscopy(EGD)検査における鎮静剤のセデーションは被検者の苦痛軽減に有用であるが,偶発症の懸念もあり鎮静剤に代わる方法や工夫が望まれている。今回我々は視覚刺激によるdistractionのEGD受診者への影響について検討した。
【対象と方法】対象はEGD受診者130名。Control群(C群)はEGD前に15分間安静とし,Distraction群(D群)は15分間安静かつ間接照明下で自然映像を視てもらった。EGD前,中,終了10分後にバイタルサインと自律神経機能を測定した。
【結果】EGD前(安静15分後)におけるD群の脈拍,血圧は有意に低下した(p<0.01)。EGD終了後におけるD群の脈拍はC群に比べ有意に低かった(p<0.05)。D群におけるEGD前(安静15分後)およびEGD終了後のLog HF powerはC群に比べ有意に高く(p<0.01),安静15分後のLF power/HF powerは有意に低かった(p<0.001)。
【結語】EGD前の視覚刺激によるdistractionは被検者の循環動態・自律神経機能の安定に有用である可能性が示唆された。