日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
透析患者に発症した小腸T細胞性悪性リンパ腫による穿孔性腹膜炎の1例
菊池 大和櫻井 嘉彦徳田 祟利
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2013 年 33 巻 8 号 p. 1301-1304

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抄録

症例は74歳,男性。慢性腎不全のため,他院で血液維持透析を施行していた。透析中に突然熱発と右下腹部痛が出現し,症状持続するため当院に救急搬送された。腹部単純CTで上腹部にfree airと腹水を認め,腹膜刺激症状も認めたため緊急手術を施行した。Treitz靭帯から肛門側約130cmの部位に穿孔部位を認め,小腸部分切除を施行した。術後さまざまな合併症を繰り返し93日目に全身状態が改善せず永眠された。術後の病理結果では,小腸T細胞性悪性リンパ腫と診断された。小腸原発悪性リンパ腫は,全消化管悪性腫瘍のうちで0.5%と比較的まれな疾患であるが,その多くはB細胞性であり,T細胞性のものは極めてまれである。さらに本疾患は化学療法も奏功せず極めて予後不良であり,本疾患の報告例の蓄積が望まれる。

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© 2013, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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