2022 年 60 巻 1 号 p. 41-52
大腸がん検診における精検法として大腸CT検査の有用性は高いが,弱点のひとつに肛門下部直腸の診断が難しい点がある。肛門下部直腸診断における糸口を探るため,後方視的に内視鏡結果と比較を行った。内視鏡検査と比較ができた55症例のうち肛門下部直腸における偽陰性1例,偽陽性3例,真陽性3例,真陰性48例が存在した。偽陰性症例は4型進行印環細胞癌であった。偽陽性は肥大乳頭,良性ポリープ,残渣疑いであった。また,偽陽性となりえる所見として,肛門管に収束する束による隆起,バルーンの影響による隆起所見があった。真陽性の手がかりとしては肛門から少しはなれた5 mm以上の所見を拾うことが考えられる。また,肛門直近病変は拡張したバルーンにより圧排変形や隠蔽される病変があることに注意が必要である。ただし,バルーン脱気により病変が肛門内に埋没して視認できなくなる病変もある。肛門下部直腸領域は偽陰性や偽陽性が起こりやすいことを認識し,今回報告したような偽陽性となりやすい隆起所見のパターンを知り,どの程度までが非病的な所見であるかの感覚をつかんでおくことが最良の読影の糸口であると考える。