日本消化器がん検診学会雑誌
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症例報告
人間ドックの上部消化管X線検査を契機に診断された1 cmの胃消化管間質腫瘍の1例
赤星 和也大石 善丈赤星 和明植山 敏彦
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2022 年 60 巻 3 号 p. 375-383

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抄録

症例は47歳女性。当院人間ドックの上部消化管X線検査で胃穹窿部大弯に径1 cmの透亮像を指摘された。当院で施行された精査の上部消化管内視鏡検査では胃穹窿部大弯に頂部に潰瘍を伴わない径1 cmの粘膜下腫瘍を認めた。超音波内視鏡検査では胃壁第4層と連続性を有する径1 cmの低エコー充実性腫瘤と診断された。消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)等が疑われたため超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引法(endoscopic ultrasonography guided fine needle aspiration:EUS-FNA)による組織採取を行った。EUS-FNA標本の免疫組織化学的解析では,c-kit,CD34共に陽性の紡錘形腫瘍細胞を認め,GISTと診断した。術前CTでも転移を認めなかったため,当院で腹腔鏡補助下胃局所切除を行った。術後病理組織診断では腫瘍径9 mmで,c-kit及びCD34が陽性の紡錘形腫瘍細胞を認め,核分裂像は50強視野中0個であり,Modified Fletcherリスク分類で超低リスクのGISTと診断された。現在当院外来フォロー中で,術後1年経過したが転移や局所再発は認めていない。

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© 2022 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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