2025 年 63 巻 2 号 p. 83-91
【背景(目的)】尿中N1,N12-ジアセチルスペルミンは, 腫瘍などの細胞から排出されるバイオマーカーとして注目されており, 尿を用いたがんの非侵襲的スクリーニングが期待されている。本研究では, がん患者と健康成人の尿サンプルを解析し, DiAcSpm/Cre値の診断性能の初期的な評価を行うことを目的とした。
【対象と方法】2015年から2023年にかけて収集およびバイオバンクから取得した健康成人の尿サンプル78検体と, バイオバンクから取得したがん患者の尿サンプル125検体を解析した。尿中DiAcSpmを測定し, ROC曲線を用いて診断性能を評価した。
【結果】尿中DiAcSpm/Cre値はがん患者群で有意に高く, 全体のROC曲線のAUCは0.82であった。特に大腸がんと胃がんでは早期ステージから高い診断性能が確認され, 膵臓がんではステージ進行に伴い性能が向上する傾向が見られた。
【結語】尿中DiAcSpm/Cre値は大腸がんや胃がんの早期診断に有望であり, 膵臓がんでも進行に応じた有効性が示唆された。しかし, 尿検体の保管期間や国籍差が結果に影響する可能性があるため, 今後の研究でその影響を明らかにする必要がある。