日本消化器がん検診学会雑誌
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会長講演
消化器がん検診は早期発見から未病状態の特定へ
廣岡 芳樹
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2025 年 63 巻 3 号 p. 365-374

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抄録

がんの統計20241)によれば, 2023年のがんによる予測死亡者数は約395,000人で間もなく40万人に達しようとしています。2024年6月に報告された人口動態速報(令和6年6月分)2)によると, 日本における2023年確定死亡者数において, 全体では膵臓が胃を上回り, 膵臓がんが全がん死者数の第3位となりました。これは画像診断を駆使しても長期生存が望める“早期の”膵臓がんの発見が未だに困難であることを示していると考えられます。

ここに, これまでに無かった新たな検診方法を開発・社会実装する必要性が生じます。形態診断にAIを組み入れること, 形態診断で早期発見が困難なものではゲノム診断・微生物叢分析・代謝物を用いた診断等々を視野に入れるべきです。このような診断法を用いれば, 発病する前の“未病”を見つけ出し“先制医療”を行うことも可能になり得ます。本稿では, 私どもの『医科プレ・プロバイオティクス共同研究講座』での経験から常在細菌叢を分析し, 介入することが今後の消化器がん検診の新たな方法の一つになる可能性について述べます。

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© 2025 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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