2025 年 63 巻 6 号 p. 1008-1016
大腸内視鏡検査における新技術, 特に人工知能(AI)の進展と検診への応用可能性について概説する。従来の大腸内視鏡検査では病変の見落とし(約25%), 診断精度の問題, 検査の質のばらつきといった課題があった。これらを解決する新技術として, ディープラーニングを基盤とするAIシステムが開発されている。病変検出支援システム(CADe)は複数の製品が実用化され, 検診における腺腫検出率の向上(約10%)や見落とし率の大幅低減(35.3%から16.1%)に寄与することが示されている。診断支援システム(CADx)も進化し, 検診で発見される小病変の腫瘍・非腫瘍の鑑別や深達度診断が可能になりつつある。さらに検査の質向上支援(CAQ)技術により, 検診における死角の少ない検査誘導や盲腸到達確認も実現している。こうした新技術の検診への応用は, 大腸癌の早期発見率向上と検診の質の標準化に貢献する可能性があるが, 長期的な大腸癌死亡・罹患抑制効果については今後の大規模研究による検証が必要である。