日本消化器がん検診学会雑誌
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特集:大腸がん死亡率減少に向けた効果的な検診戦略
大腸がん検診における免疫便潜血検査の有効性と限界
吉川 裕之
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2025 年 63 巻 6 号 p. 981-990

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抄録

免疫便潜血検査(免疫法)は大腸がん死亡率の減少効果が科学的に証明され, 利益が不利益を上回ることから, 対策型検診および任意型検診での実施が推奨されている。日本では1992年から免疫法による大腸がん検診が開始され, 1990年代後半から年齢調整死亡率は減少しているが, 免疫法による大腸がん検診を実施している諸外国と比較するとその減少効果は充分ではない。

国民生活基礎調査によると, 勤め先で大腸がん検診を受けた人(40-69歳)の割合は49.1%と高い。法定外健診項目として実施される職域がん検診では, 事業者や保険者が福利厚生を目的に任意で実施している。職域の実態を継続的に把握できる仕組みはなく, また指針とは異なる方法や運用も見られ, 精度管理は不十分である。

従って, 大腸がん検診における免疫法の有効性を高め, 不利益を最小化するためには, 職域検診も含めた組織型検診の導入が不可欠である。検診の実施形態に関わらず, 個人単位での受診状況の包括的な把握と質の高い精度管理が可能な検診プログラムの構築が望まれる。

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