日本消化器がん検診学会雑誌
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特集:大腸がん死亡率減少に向けた効果的な検診戦略
大腸内視鏡検査の対策型検診への導入の意義と課題
小林 望
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2025 年 63 巻 6 号 p. 991-1001

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抄録

1992年に始まった免疫便潜血検査2日法を用いた大腸がん検診は十分な効果を発揮できていない可能性が指摘されており, より効果的な大腸がんへの対策として大腸内視鏡検査を対策型検診に導入する議論が活発になっている。その有効性に関しては, 多数の症例対照研究やコホート研究で証明されているものの, ランダム化比較試験での検証は進行中である。すでに対策型大腸内視鏡検診を導入しているドイツでは, 便潜血検査との選択式で, 10年間隔で最大で2回の大腸内視鏡検査を受けることができるが, その精度管理にも注意が払われており, 年間の受診率は2-3%に留まるものの, 大腸がん罹患・死亡の減少に大きく貢献していることが報告されている。一方ポーランドでは, 大腸内視鏡検査単独での検診を導入したために, その受容性の低さとアクセスの悪さから十分な成果につながっておらず, 追加の対策に追われている。日本で大腸内視鏡検診を導入するためには, 死亡率減少効果の検証はもちろん重要だが, 「大腸内視鏡検診を正しく遂行できるような精緻かつ強固な検診システム」が必要であり, 組織型検診の導入など, がん検診の体制強化と並行して議論する必要がある。

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