2026 年 64 巻 1 号 p. 100-106
症例は41歳男性, 当施設初回受診で事前問診では自覚症状無しと回答した。上部消化管X線検査(upper gastrointestinal barium X-ray radiography;以下, UGI)時に頚部食道に約40mmの憩室を認め, 内部には食物残渣とバリウム(以下, Ba)を確認した。UGI後の医師診察時に嚥下時の違和感を訴え, 頚部左側には膨隆を確認した。当施設でCT検査を実施したところ42×38mmの憩室を認めた。食道狭窄を伴いBa排出が困難な可能性があること, 残存するBaや残渣による感染や穿孔のリスクを考慮して当日中に外科紹介となった。後日紹介先の医療機関よりKillian-Jamieson憩室(以下, K-J憩室)の診断と外科的切除後縫合閉鎖して治療を完了したとの報告を受けた。食道憩室の多くは無症状で精密検査の対象とならないが, 有症状の場合や感染・穿孔のリスクがある場合, 悪性腫瘍を合併する場合は治療対象となる。本症例から, 検査を担当する診療放射線技師は検診時に発見される憩室にも治療を要する場合があることを認識し, 咽頭部の所見にも留意して撮影に臨む必要があると考えられた。