2026 年 64 巻 1 号 p. 26-41
自己免疫性胃炎(autoimmune gastritis;以下, AIG)は, 従来, 胃前庭部粘膜が保たれつつ胃体部に高度な萎縮が及ぶ「逆萎縮」が典型的な内視鏡像であるとして認識されてきた。しかし近年の報告により, AIGは自然史を通じて多様な内視鏡像を呈することが明らかとなった。本稿ではAIGを初期・早期・中期・進行期~終末期の4段階に分類し, 通常光観察における特徴的所見を, 病理学的裏付けやHelicobacter pylori(以下, H. pylori)胃炎との鑑別点とあわせて解説する。初期の内視鏡診断は困難であるが, 早期には胃小区腫脹, 中期には残存胃底腺(remnant oxyntic mucosa;以下, ROM)を意識することで診断の手がかりとなる。また, NBI拡大観察の有用性, 生検部位の選択と病理医への情報共有の重要性, さらにH. pylori感染併存例における診断上の課題についても論じた。胃がん検診においても, 日頃からH. pylori未感染・現感染・既感染の鑑別を熟知したうえで, 非典型的な粘膜所見に遭遇した際にAIGを疑う姿勢が求められる。