2026 年 64 巻 5 号 p. 852-864
【背景】近年,対策型胃X線検診の受診者が高齢化しており,これらは便排泄遅延に伴う偶発症の高リスク群であることから,バリウムのスムーズな排泄を促進することは重要である。これまで宮城県対がん協会では下剤入りバリウムの使用と錠剤下剤の配布を行ってきたが,加えて2023年度より還元難消化性デキストリン配合飲料水(プロジェクトF,500 mL;以下デキストリン水)の配布を開始した。
【対象と方法】対象は2019年度から2024年度に当協会実施の対策型胃X線検診受診者751,579人で,検診後に寄せられた電話相談件数を解析した。
【結果】デキストリン水配布前(2019−2022年度)の電話相談件数は受診者1万人あたり20人であったが,配布後(2023−2024年度)は9人,オッズ比0.44(95% CI,0.38−0.51)と減少した。この効果は性別や年齢,実施年度で調整したが独立して認められ,さらに排便困難に関する相談件数の減少が相談件数全体の減少に大きく関与した。
【結語】デキストリン水の配布は胃X線検診後の便泄困難を軽減する公衆衛生的介入であることが示唆された。