論文ID: 21014
【背景】胃X線検診の撮影手技は新・胃X線撮影法ガイドライン 改訂版(2011年)を標準とし,基準となる撮影法の他に追加撮影と任意撮影を設けている。追加撮影は撮影者が所見に気づいたときに追加する撮影法で,その有用性が議論されている。我々は追加撮影が読影医の判定に有用であるか検討した。
【対象と方法】対象は消化器内科医12名で読影経験の差により2分類した。方法は内視鏡生検下による組織診にて確定診断の得られた40例を悪性20例と良性20例に分類し,無作為に配したX線像のカテゴリー判定試験を行い追加撮影の有無による感度の差について検討した。
【結果】追加撮影実施時の感度は,中央値76.5%(平均71.6%),未実施時30.0%(平均41.7%)と有意な差を認めた(P<0.05)。読影経験の差による影響は,経験豊富な読影医の追加撮影実施時感度が93.0%(平均92.0%),未実施時80.0%(平均80.0%)で有意な差を認めなかった。一方,経験の少ない読影医は追加撮影実施時が47.0%(平均57.1%),未実施時20.0%(平均14.3%)と有意な差を認めた(P<0.05)。
【結論】読影経験豊富な医師では追加撮影がカテゴリー判定に影響を与えることは少なかったが,読影経験の浅い医師では追加撮影によって感度が向上した。