消化器集団検診
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岩手県における大腸癌検診成績の検討
便潜血反応陽性例からの発見大腸癌と愁訴の有無からみた性別比較
長澤 茂千葉 茂樹秋浜 玄中塚 明彦佐藤 公彦佐藤 俊一
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1998 年 36 巻 5 号 p. 548-551

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抄録

大腸癌検診が老人保健法のもとに実施され我々も多くの成績を報告してきた。本報では, 岩手県にて昭和57年から実施されてきた便潜血反応による検診で発見された大腸癌251例について検討した。早期癌は57.9%進行42.1%であったが, 性別には女性の進行癌が有意に高率であった。占居部位では直腸およびS状結腸癌が男女とも過半数を占めたが, Dukes A率は男性に比し女性では有意に低率で, このうち発見数の最も多いS状結腸ではDukes Aは50%と直腸癌の77.8%に比較しても低率であり今後の対応に課題を残した。また, 愁訴の有無別では無愁訴群に占める進行癌割合は男に比較し女性で有意に高率であった。便潜血反応二日連続陽性群に占めるDukes B~C割合は男女とも高率であった。以上から便潜血反応陽性者とくに二日連続陽性群に対する, より一層の精密検査医療環境の整備が必要と思われた。受診動機に男女差が存在することが示唆され, 今後女性のS状結腸癌早期発見にむけての受診勧奨に工夫が望まれると同時に, 男の有愁訴群からの発見進行癌が高率であり集団検診受診に指導教育が必要と思われた。

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© 日本消化器がん検診学会
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