消化器集団検診
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長期間, 自然経過観察しえた人間ドックにおける血清
Helicobacter pylori抗体, 血清ペプシノゲン測定例の検討
堀中 真子大類 方巳久内 徹小林 多鶴子原 美佳子寺野 彰
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1998 年 36 巻 5 号 p. 542-547

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抄録
1991年5月から1992年3月までに人間ドックを受診した512名中, 約4~5年後に再度, 人間ドックを受診した96名 (男性80名, 女性16名) を対象として, 血清Helicobacter pylori (H. pylori)-IgG抗体と血清ペプシノゲンを測定し, 同抗体の陽性率とペプシノゲン値の推移, 上部消化管内視鏡所見との関連, 経過観察中の胃癌発症例について検討した。
血清H. pylori抗体陽性率は, 第1回目受診時70%, 4~5年後63%であった。2回の受診時とも, 同抗体 (+) 群は, 同抗体 (-) 群に比べて, 有意に血清ペプシノゲンII値が高く, 有意にペプシノゲン1/II比が低かった。同抗体陽性率は胃潰瘍, 十二指腸潰瘍で高い傾向にあった。上部消化管内視鏡所見別による血清ペプシノゲン値の有意差は認められなかった。経過観察中の胃癌 (いずれも早期胃癌) 発症は4例であったが, 第1回目受診時に同抗体ωで, 血清ペプシノゲン1は70ng/ml以下かつペプシノゲン1/II比は3以下であった。
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© 日本消化器がん検診学会
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