日本消化器集団検診学会雑誌
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腹部超音波検査における偽陰性肝細胞癌の検討
岡庭 信司比佐 岳史荻原 毅佐々木 宏子山田 繁夏川 周介
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2000 年 38 巻 4 号 p. 515-520

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抄録
腹部超音波 (以下US) における偽陰性肝細胞癌の特徴を明らかにする事を目的に, US後1年以内に20mm以上の腫瘍が指摘された肝細胞癌30例 (33病変) につき検討した。
その結果,(1) 前回のUSにて93.3%に慢性肝疾患像 (辺縁鈍, 粗造な実質エコー, 左葉腫大) を認め, 56.7%に描出不良部位を認めた。(2) 腫瘍の占居部位は後上区 (39.4%) が最も多く, 57.6%が右葉の横隔膜下にあり, 33.3%が肝表面に, 26.7%が脈管の背側に存在した。(3) 3ヶ月以内に発見された症例には30mmをこえる腫瘍を認めず, 適切な経過観察 (慢性肝炎≦6ヶ月, 肝硬変≦4ヶ月) による発見例の方が不適切例に比べ優位に腫瘍径が小さかった。
以上より, US検査時には右葉の横隔膜下, 肝表面および脈管背側の腫瘍に注意すべきであり, 慢性肝疾患像 (辺縁鈍, 粗造な実質エコー, 左葉腫大) を認めた場合には3ヶ月以内の経過観察が好ましいと思われた。
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