日本消化器集団検診学会雑誌
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人間ドックで発見された大腸癌症例の検討
とくに検診方法との関係について
矢川 裕一大田 由己子馬渕 原吾小幡 裕中山 恒明梶原 哲郎
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2000 年 38 巻 4 号 p. 526-532

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抄録

1987年から1996年の10年間に発見された大腸癌33例 (早期癌20例, 60.6%) より大腸癌検診の方法, とくに便潜血反応の有用性について検討した。検診方法は一次検診として年2回 (6ヶ月毎) の便潜血反応, 二次検診としてX線あるいは内視鏡による大腸検査を行っている。また, 2年に1回大腸検査を奨めている。大腸癌発見の契機をみると, 便潜血20例, 大腸検査10例, 肝転移および症状で発見された進行癌症例が3例あった。便潜血と大腸検査発見例をみると, 明らかに後者で早期癌が多かった。便潜血発見例では陽性後6ヶ月以内診断例はそれ以降診断例にくらべやはり早期癌が多かったが, 3ヶ月以内発見例にも4例進行癌がみられた。予後はいずれも良好であった。便潜血反応は6ヶ月毎の検診により多くが早期に発見され, 予後からみても有用と思われた。しかし, 偽陰性例の存在などを考慮すると, 直接大腸検査のフォローが必須と考えられた。

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