日本消化器集団検診学会雑誌
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高濃度バリウムを使用した胃間接X線検査の検討
阿部 慎哉野口 哲也島田 剛延渋谷 大助
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2000 年 38 巻 5 号 p. 579-586

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抄録

近年, その有用性が強調されている高濃度バリウムを使用した二重造影中心のX線検査が, 胃集検のスクリーニングとして導入可能かどうかさまざまな面から検討した。
以前より間接X線検査の弱点とされてきたC領域の画像は, 高濃度バリウムの使用により明らかに向上すると考えられた。粉末製剤の高濃度バリウムは低粘性で流動性が高い特徴を有するが, このため十二指腸へのバリウム流出が多くなり, 描出範囲が狭くなる問題も指摘されている。しかし, 最初に発泡剤を服用し, その後に少量の高濃度バリウムを使用して検査を行うことにより, バリウム流出は軽減できると考えられた。
今回検討した180W/V%120mlのバリウムを使用した二重造影中心の新撮影法は, 造影剤の面からも撮影法の面からも総合的に高い評価が得られた。新撮影法はバリウムの付着を優先しているため若干検査時間が延長するが, 受診者へのアンケート調査などからも, 胃集検への導入は十分可能であると考えられた。

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