日本消化器集団検診学会雑誌
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会社検診としてのペプシノゲン法による胃癌検診
森永 秀夫橋本 哲夫魚谷 知佳松田 昌子坂東 平一
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2000 年 38 巻 5 号 p. 587-591

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抄録

1997年より当院関連会社の胃癌検診にペプシノゲン(以下PG)法を採用しており、その有用性と発見効率について検討した。5, 264名 (平均年齢47.0歳, 男女比87: 13) を対象に, 血清PGI, II (IRMA法) を測定した。陽性者 (PGI≦70ng/mlかつPGI/II比≦3) は1,163名 (22.1%)で, うち794名 (15.1%) が内視鏡検査を受けた (精検実施率68.3%)。陽性者のPGIならびにI/II比の平均はそれぞれ41.6ng/ml, 1.95であった。胃癌を8例(全対象者の0.15%, 精検実施者の1.01%) に認め, 占拠部位は体部5例, 前庭部3例で, うち5例が深達度m癌, 3例がmpおよびss進行癌であった。PG法による胃癌1例の発見費用は約262万円で, 胃造影検査 (バリウム検査), 人間ドック (胃内視鏡検査) と比較し, もっとも安価であった。またPGIが250ng/ml以上を示した症例は20例で, 9例が腎機能低下例, 3例が抗潰瘍剤投与例であった。PG法による胃癌検診は従来法に比べ経済効率もよく, また早期癌発見に寄与しており, 職域検診として有用であると考えられた。

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© 日本消化器がん検診学会
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