日本消化器集団検診学会雑誌
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個別検診にて発見されたスキルス胃癌の検討 (間接胃集検発見スキルス胃癌との比較)
村 俊成前川 信政吉田 千尋小山 信米島 學藤田 邦彦西 正美磨伊 正義
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2000 年 38 巻 6 号 p. 689-695

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抄録

金沢市医師会方式として個別検診で発見されたスキルス胃癌について, 石川県成人病予防センターでの間接胃集検にて発見されたスキルス胃癌と比較検討した。 6年間に金沢市医師会の個別検診にて発見された胃癌 (以下個別群) は, 118例 (発見率0.27%, 早期癌比率57.0%) で, スキルス胃癌は12例 (全発見癌の10.2%, 進行癌の23.5%) で, 同時期の石川県成人病予防センターでの間接胃集検で発見された胃癌 (以下集検群) は, 280例 (発見率0.13%, 早期癌比率66.1%) で, スキルス胃癌は13例 (全発見癌の4.6%, 進行癌の13.7%) とほぼ同数であったが, 個別群のほうがstageも高く予後も不良であった。 診断能を検討すると, 初回受診発見例は個別群ではすべてGrade4, Grade5と診断されたが, 集検群では再読影にてもGrade3としか判定できず, 逐年受診発見例の前年度比較読影では, 個別群では確診例はなく集検群では1例のみが診断可能であった。
以上より, 個別検診にてもスキルス胃癌の早期診断は極めて困難であるが, 今後なんらかの方法にて救命可能の段階にて発見できるように努めねばならない。

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