日本消化器集団検診学会雑誌
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大腸sm癌における注腸X線検査の深達度診断能
山田 弘徳小川 英風大塚 誉子高木 直行池延 東男丸山 雅一市川 平三郎
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2001 年 39 巻 1 号 p. 15-23

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抄録

1990~99年までに当施設で発見された大腸sm癌47例とsmと診断されたm癌4例の51例を対象とした。ルーチン注腸X緑検査 (BE)(37例) の癌存在診断能, 大腸内視鏡検査 (CF) と精密BE (41例) のm, smlとsm2, 3の深達度診断能を検討した。1) 見直しでルーチンBEの描出率は89.2%, 見落とし率8.1%, 感度81.1%であった。2) 深達度診断的中率はBE61.0%, CF61.0%で, 両者正53.7%, 両者誤31: 7%であった。3) 肉眼型別的中率では, 隆起型 (Is) でBE (70%) がCF (50%) より高く, 表面陥凹型 (IIc, IIc+IIa) で, CF (66.7%, 60%) がBE (33.3%, 40%) より高かった。表面隆起型 (IIa) では両者とも低かった (各々50%)。4) 部位別的中率では, 盲腸, 上行・下行結腸で両者とも高く (各々75%, 100%), 横行結腸で両者とも低かった (各々20%) 。S状結腸でBE50%, CF57.1%, 直腸ではBE69: 2%, CF61.5%であった。5) 大きさ別では, 10mm以下で両者とも低かった。6) 深達度診断誤りの理由は, BEでは側面変形の判断の誤り, 陥凹有無の判断の誤りなどで, CFでは病変口側の観察困難, 陥凹有無の判断の誤りなどであった。大腸sm癌におけるBEの深達度診断能はCFと同等であり, 診断能の向上には両者ともに不可欠で両者の併用が必要と考えられた。

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