抄録
高濃度バリウムを用いた二重造影を主体とした撮影法の有効性に関して数多くの報告がなされている。当センターにおいても, 高濃度バリウムを用いた新撮影法について, 検討を行い胃集検に導入可能と判断し平成10年度より, 採用した。平成8年度 (120W/V%200mlによる充盈法を含む従来法) と平成10年度 (180W/V%120ml新撮影法) の検診成績において, 平成10年度では早期癌率が上昇し, 特にM領域において顕著であった。示現率においても, 早期癌が向上し, 陥凹型, U, M領域において上昇していた。示現例における正診率では, 平成8年度に比較し, 大きな差は認められないが, 示現例における進行癌のU領域において, 正診率の低下を認め, いずれも前壁, 小弯病変が多く, 早期類似進行癌が半数を占めた。新撮影法では, バリウムの付着性が向上しており, その特徴をふまえた注意深い読影が重要と思われる。