2001 年 39 巻 4 号 p. 283-288
胃集団検診のうち上部消化管に対し未治療の受診者を対象に, 血清pepsinogen測定法 (PG法) と血清抗Helicobacter pylori IgG抗体測定法 (HP法) を同時併用にて実施し, 上部消化管内視鏡所見をgold standardとした時に上部消化管病変とHP感染および血清PG値との関連性について検討した。その結果, HP陽性者 (HP (+)) の血清PGI値は陰性者 (HP (-)) と比較して高値を示し, それは加齢とともに低下傾向を呈した。血清PGII値については, HP (+) はHP (-) の約2倍と有意な増加を示した。しかしながら, HP (+) の血清PGI, PGII値ともにPG法の判定に関わらずHP (-) よりも著明に高値を示した。さらに, 上部消化管病変例がPG (+) かつHP (+) に多くに認められた。その中でも, 萎縮性胃炎例は加齢による変化に加えHP感染の罹患期間にも影響を受けることが示唆された。