日本消化器集団検診学会雑誌
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39 巻, 4 号
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  • LPIA-S500による血中ペプシノゲン測定の基礎的・臨床的検討
    三木 一正, 笹島 雅彦, 保科 玲子, 福士 顕, 樋口 富士人
    2001 年 39 巻 4 号 p. 273-282
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    ペプシノゲン (以下PG) はPGI, PGII及びPGI/II比を測定することにより胃癌高危険群のスクリーニングに有用である。今回ラテックス近赤外線法を原理とする全自動免疫血清検査システムLPIAS500 を用い, 某職域総合健 (検) 診受診者511名を対象に自動測定が可能なPGI, II測定用試薬「イアトロPGI, II」の試薬性能につき検討した。LPIA-S500の標準曲線再現性, 希釈直線性, 最小検出感度, 共存物質などの影響の基礎的検討は, いずれも良好な結果が得られた。また90名を対象とした血清検体と血漿検体との相関, および従来法であるRIA法との相関なども良好であった。本試薬は LPIA-S500を使用することにより, 短時間 (測定時間20分) にて血清, 血漿中のPGI, IIを迅速に測定でき, 本キットは操作の簡便性, 迅速性, 経済性の観点からも一般検査室のみならず健 (検) 診現場での使用に適していると考えられた。
  • 由良 明彦, 高橋 一江, 飯島 位夫, 関根 昌子, 赤座 協, 矢島 美智子, 安藤 幸彦
    2001 年 39 巻 4 号 p. 283-288
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    胃集団検診のうち上部消化管に対し未治療の受診者を対象に, 血清pepsinogen測定法 (PG法) と血清抗Helicobacter pylori IgG抗体測定法 (HP法) を同時併用にて実施し, 上部消化管内視鏡所見をgold standardとした時に上部消化管病変とHP感染および血清PG値との関連性について検討した。その結果, HP陽性者 (HP (+)) の血清PGI値は陰性者 (HP (-)) と比較して高値を示し, それは加齢とともに低下傾向を呈した。血清PGII値については, HP (+) はHP (-) の約2倍と有意な増加を示した。しかしながら, HP (+) の血清PGI, PGII値ともにPG法の判定に関わらずHP (-) よりも著明に高値を示した。さらに, 上部消化管病変例がPG (+) かつHP (+) に多くに認められた。その中でも, 萎縮性胃炎例は加齢による変化に加えHP感染の罹患期間にも影響を受けることが示唆された。
  • 大腸癌の発見経緯からみた検討
    松田 一夫, 渡辺 国重
    2001 年 39 巻 4 号 p. 289-297
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    大腸がん検診後2年以内の発見癌を集検発見 (真陽性, 偽陰性-逐年・隔年発見, 陽性逐年・隔年発見) と集検外発見 (陽性-集検外発見, 中間期がん) に分け, Kaplan-Meier法により累積5年生存率を求めた。浸潤癌の5年生存率は偽陰性-逐年・隔年発見では96.0%と最も良好で, 中間期がん 63.0%, 陽性-集検外発見では49.1%と有意に不良であった。ロジスティック回帰分析で予後不良因子と判明したのは癌発見経緯であり, 年齢, 性別, 占拠部位, 癌の分化度は有意の規定因子ではなかった。偽陰性-逐年・隔年発見の5年以内死亡のオッズを1.0とすると陽性-集検外発見のオッズ比は27.98, 中間期がんのオッズ比は19.19と有意に高かった。陽性-集検外発見癌および中間期がん対策としては,(1) 精検の必要性を十分説明・精検受診勧奨する,(2) 精検では可能な限り全大腸内視鏡検査を施行,(3) 逐年検診,(4) 便潜血陰性であっても症状があれば精査することが重要である。
  • 井野 彰浩, 川元 健二, 平賀 聖久, 上田 真信, 増田 康治
    2001 年 39 巻 4 号 p. 298-302
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    大腸集検における精密検査として注腸X線検査単独で十分かどうかを調べるために, 大腸腫瘤性病変における注腸X線検査の感度および示現能について検討した。対象は1994年4月から1999年6月までの問, 当科にて注腸X線検査 (以下BE) が精密検査として施行され, その結果大腸に腫瘤性病変を指摘され, その後2カ月以内の非同日に全大腸内視鏡検査 (以下TCF) を行った194症例, 424病変である。まずBE検査時の読影結果から, TCFをgold standardとしてBEの感度を算出した。次にTCF後のBEフィルムの再読影でBEの示現率を求め病変の大きさ別, 肉眼形態別, 部位別, 組織型別に検討した。またBEでの見逃し, 示現なしの原因に関しても検討した。結果として, 感度は90.8% (癌のみでは 92.6%), 示現率は93.2%であった。示現率に関しては, 大きさ別では5~9mmが88.9%, 肉眼形態別ではIIa型が78.6%, 部位別では盲腸が81.4%と各々低かった。また, 見逃しの原因は多発病変が7例で最も多かった。BEで示現なし29病変のうち癌は1病変のみでm癌であった。示現なしの原因は前処置不良が9病変と多かった。以上の結果から, 読影側としてはより詳細な読影, 撮影側としては適切な前処置の改良を行うことで, BEの診断能はさらに向上するものと思われた。大腸集検における精密検査としては, 全例TCFが施行されることが望ましいが, TCFを基準としてもBEの感度は90.8%あり, 今回の成績を見る限りBEも妥当な検査であるといえる。
  • 福田 直子, 相良 安信, 三好 宏和, 鎌村 真子, 岸 清一郎, 伊東 進
    2001 年 39 巻 4 号 p. 303-306
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    便潜血カットオフ値の検討から, 地域での要精検率を下げるためにはカットオフ値を現在の 130ng/mlから150ng/mlに上げ, 職域での2日法を推奨すべきであると思われた。便潜血定量値と発見大腸癌の関係では, 早期癌の平均値900ng/mlに対し進行癌が1,556ng/mlと有意に高値であった。早期癌の肉眼型では表面型が419ng/mlと最も低く, Is, Isp, LST, の順に高くなり, Ip型が1,154ng/mlと最も高い値を示した。大きさでは10mm以下は21mm以上に比較して有意に低かった。深達度ではm癌ではsm癌に比較して有意に低かった。占居部位による差はみられなかった。以上より, 表面型, 1cm以下, 粘膜内癌は便潜血検査が陽性となりにくいと考えられ, 逐年検診の重要性が示唆された。便潜血検査の定量値が上がると陽性反応適中度が上昇し, また便潜血検査2回陽性例は陽性反応適中度が 10.5%と高く, 精検受診勧奨の際に考慮すべきであると思われた。
  • ノートパソコンによる逐年検診成績の参照
    出塚 豪記, 奥山 悠子
    2001 年 39 巻 4 号 p. 307-313
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    職域における腹部超音波 (US) 検診の精度管理を目的として, パソコンを用いてUS情報システムを自主開発し, その有用性について検討した。逐年受診者が多数のため, 有所見の経年変化を観察し, 要精検例を絞り込むことが精検受診率, 検診受診率の向上に重要と考えられた。そこで, 検診時に過去のUS所見や逐年検診成績を参照できるようにUS情報システムを設計した。US情報システム使用前に比べ, 使用後からは要精検率は低下し, 精検受診率, 検診受診率は向上した。悪性腫瘍発見率, 特異度, 陽性反応的中度ともに向上した。US情報システムにより診断精度が向上したことが示された。
    さらに, すでに診断が定まっている良性疾患について, 術者がリアルタイムのUS画像を用いて経年変化の説明を行った。この方式が受診者の検診に対する信頼感を高め, 各受診率の向上に寄与したと思われる。
    US情報システムは精度管理に有用と思われた。
  • 小野寺 博義, 渋谷 大助, 岩崎 隆雄
    2001 年 39 巻 4 号 p. 314-317
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    がん・生活習慣病健診の超音波検査ではVTRを用いたダブルチェックを採用している。一次超音波検査は超音波検査士が担当し, ダブルチェックによる診断の確定と経過観察や精検などの指示は医師が担当している。ダブルチェックで超音波診断に疑問がある場合や要精検と判定された症例については医療機関に紹介する前に対がん協会に再度呼び出し二次超音波検査を実施している。対象は1996年から1999年までに宮城県対がん協会のがん・生活習慣病健診の超音波検査を受検した21,979人である。今回の検討では, もしも二次超音波検査を実施しなければVTR見直しでチェックされた526人 (超音波検査受検者総数の234%) は全て医療機関に紹介され精検を受診していたことになるが, 二次超音波検査を実施したことで医療機関への紹介を140人 (超音波検査受検者総数の0.64%) に減らすことが可能であった。
  • 福田 直子, 相良 安信, 三好 宏和, 鎌村 真子, 岸 清一郎, 伊東 進
    2001 年 39 巻 4 号 p. 318-322
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    平成5年度から10年度までの6年間に当センターで実施した大腸癌検診の現況と発見大腸癌について臨床病理学的検討を行った。年間受診者は平均26,208人, 発見癌は平均40.4人であり, 癌発見率は地域で0.26%, 職域で0.05%, 両者の平均は0.14%であった。年齢性別癌発見率では加齢とともに癌発見率が上昇し, 特に男性でその傾向が強くみられ, 60歳男性では0.58%と高かった。検診結果を前期と後期に分けて比較すると, 3cm以上の大きな癌の有意な減少とlp型癌の減少傾向, Is型癌の増加傾向がみられた。表面型癌はあまり変化がなかった。年齢別発見癌の比較では比較的若年層で直腸癌が有意に減少し, S状結腸癌が有意に増加していた。受診歴を有する受診者は初回受診者に比較して有意にステージIまでの癌が多く, 大腸癌検診の有効性が示唆された。
  • 今村 清子, 馬場 保昌, 細井 董三, 北川 晋二, 渕上 忠彦
    2001 年 39 巻 4 号 p. 323-332
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 39 巻 4 号 p. 334-351
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
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