日本消化器集団検診学会雑誌
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大腸がん検診における予後不良例
大腸癌の発見経緯からみた検討
松田 一夫渡辺 国重
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2001 年 39 巻 4 号 p. 289-297

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抄録

大腸がん検診後2年以内の発見癌を集検発見 (真陽性, 偽陰性-逐年・隔年発見, 陽性逐年・隔年発見) と集検外発見 (陽性-集検外発見, 中間期がん) に分け, Kaplan-Meier法により累積5年生存率を求めた。浸潤癌の5年生存率は偽陰性-逐年・隔年発見では96.0%と最も良好で, 中間期がん 63.0%, 陽性-集検外発見では49.1%と有意に不良であった。ロジスティック回帰分析で予後不良因子と判明したのは癌発見経緯であり, 年齢, 性別, 占拠部位, 癌の分化度は有意の規定因子ではなかった。偽陰性-逐年・隔年発見の5年以内死亡のオッズを1.0とすると陽性-集検外発見のオッズ比は27.98, 中間期がんのオッズ比は19.19と有意に高かった。陽性-集検外発見癌および中間期がん対策としては,(1) 精検の必要性を十分説明・精検受診勧奨する,(2) 精検では可能な限り全大腸内視鏡検査を施行,(3) 逐年検診,(4) 便潜血陰性であっても症状があれば精査することが重要である。

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