日本消化器集団検診学会雑誌
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血清ペプシノゲン法陰性胃癌の検討
松本 純一荒井 泰道矢作 和也橋本 良明増田 淳
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2002 年 40 巻 1 号 p. 20-27

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抄録

外来, ドック, 集検等で発見され, 術前に血清ペプシノゲン (以下PG) 値を測定した胃癌100例を対象に, PG法陰性癌, 特にPG法陰性進行癌について特徴及び対策を検討した。対象は男性75例, 女性25例で, PG法陰性癌38例 (38%) うち早期癌22例, 進行癌16例, PG法陽性癌62例(62%)うち早期癌31例, 進行癌31例であった。PG法陰性進行癌の特徴は(1)陽性癌と比較してやや若年傾向,(2)女性の比率がやや高い,(3)C領域が少ない,(4)隆起型がない,(5)未分化癌の割合が高い,(6)Stage分類ではStage IbからIVbまで比較的均等に分布する等であった。組織学的にはpor 1, por 2は早期癌に比べ進行癌でPG法陽性率が増加し, 進行癌ではsig, mucがPG法陰性となる頻度が高かった。自覚症状有りは, 進行癌が早期癌に比べ明らかに頻度が高かったが, PG法陰性進行癌に特有の症状はない。受診方法ではドック・検診群が外来群よりPG法陽性率が高かった。PG法陰性進行癌をみおとさないための対策としては, 有症状者においてPG法のみでスクリーニングすべきでなく, 検診レベルよりも一般診療を受けるようすすめるべきであると考えられる。また胃癌検診のスクリーニングとしては何らかの方法でX線検査法との併用が必要と思われた。

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