日本消化器集団検診学会雑誌
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大腸検診で発見された腺腫の取り扱い
家守 光雄北川 晋二中村 裕一増田 信生高宮 紘士大串 秀明北野 亀三郎古賀 安彦高山 武彦田中 啓二武田 儀之長柄 均
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2002 年 40 巻 1 号 p. 28-35

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抄録

福岡市医師会大腸がん検診において, 平成7年度から11年度の5年間に発見された大腸ポリープ症例2,622例に対してアンケート調査を行い, 検診発見腺腫の取り扱いについて検討した。大きさ5mm以下の微小病変は, 担癌率が0.9%と低く, sm癌の割合も0.2%と少なかったため, sm浸潤が疑われる表面陥凹型以外は摘除の対象外であると考えられた。しかし実際の臨床の場では5mm以下の病変も少なからず摘除されており, さらなる啓蒙が必要である。大きさ6~10mmの病変では, 担癌率は6.8%と明らかに上昇し, sm浸潤率も高かった。摘除を考慮した方がよいが, 比較的径が小さく, 生検で異型度の低いものは経過観察にまわすのも一つの選択肢であろう。大きさが10mmを超えると担癌率, sm浸潤率ともに一層高くなり, sm癌が早期癌の半数以上を占めていた。摘除をはじめ何らかの適切な治療を講じるべきである。検診発見腺腫のサーベイランスは, 見逃し例を含めて初回のサーベイランスで発見される癌が少なくないことから, 必ず1回は行うこと, できれば初回精検から1年後には行うことが望ましいと考えられた。

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