日本消化器集団検診学会雑誌
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大腸癌個別検診における便ヘモグロビン濃度定量値の検討
中野 真須田 健夫井上 幸万蓮見 直彦翁 伯東田畑 育男冨田 一郎松沢 良和増田 治仁臼倉 潔
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2002 年 40 巻 2 号 p. 150-154

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抄録
大宮市における大腸癌個別検診の集計を行い,便Hb濃度定量値について検討した。平成6-11年度の大腸癌個別検診の総受診者数は83,700人で, このうち精検受診者は5,054名, 発見大腸癌は451例 (早期m癌259例, sm癌55例, 進行癌114例, 深達度不明癌23例) であった。発見疾患を便抽出液中Hb濃度 (2回のうち高い値) によりI群 (500ng/ml未満の群), II群 (500-999ng/mlの群), III群 (1,000ng/ml以上の群) に分けて検討した。各群の大腸癌頻度は, I群で6.3%, II群で11.4%, III群で28.8%であった。また発見大腸癌のうち単発例において形態, 腫瘍径, 部位別の検討をおこない, 早期癌における便Hb濃度が, 形態では丈の高いものほど高く, 腫瘍径では大きいものほど高く, 部位ではS状結腸と直腸に高い傾向がみられた。以上より, 便Hb濃度高値の場合には積極的な精査受診勧奨が必要であり, 検者側では慎重かつ正確な精査が必要であると考えられた。
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