日本消化器集団検診学会雑誌
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超音波集検のさらなる発達をめざして
とくに肝胆膵領域を中心に
今井 英夫刑部 恵介堀口 祐爾中野 浩水野 文雄岩月 稔
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2002 年 40 巻 3 号 p. 261-267

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抄録

肝胆膵領域における腹部超音波集団検診の最近の成績を解析し現状の問題点と今後の展望について検討した。最近4年間のUS集検実施数は年々増加していた。また要治療および要再検精査の比率は, 検診受診者の3.7~5.9%程度で, 年度別の増加傾向は認められなかった。1次検査における各臓器における腫瘤性病変の指摘率は, 肝臓で14~16%, 胆嚢で隆起性病変として11%前後であったが, 膵では 0.1%にも満たなかった。それぞれの精検結果から悪性疾患 (膵内分泌性腫瘍を含む) 発見率は年度別にみると1996年度胆嚢癌1例 (0.01%), 97年度肝細胞癌1例と膵内分泌腫瘍1例の計2例 (0.02%), 98年度肝細胞癌, 胆嚢癌, 膵癌それぞれ1例の計3例 (0.03%), 99年度肝細胞癌1例 (0.01%) であった。現時点では超音波集検における肝胆膵の悪性疾患発見率は満足できないものの有所見率は高く疾患の拾い上げには有用で, 特にhigh risk groupの設定が困難な胆道, 膵悪性腫瘍での期待は高い。また精査法として再度USが選ばれることが多くTissue Harmonic Imaging法やカラードプラの積極的な導入が強く望まれる。

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