日本消化器集団検診学会雑誌
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腹部超音波検診における粘液産生膵腫瘍の検討
比佐 岳史岡庭 信司荻原 毅佐々木 宏子小山 恒男山田 繁夏川 周介
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2002 年 40 巻 3 号 p. 268-273

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抄録

腹部超音波 (以下US) 検診における粘液産生膵腫瘍 (以下MPT) の発見向上を目的に, 人間ドックにおける膵嚢胞性疾患の発見状況, およびMPT症例の特徴を検討した。
ドック例では, 膵嚢胞性疾患としてMPT5例 (0.03%), 非腫瘍性膵嚢胞40例 (0.24%) が発見された。臨床例を加えたMPT12例と非腫瘍性膵嚢胞40例の特徴を比較すると, MPTの5 & 3%に発熱, 黄疸, 上腹部痛, 背部痛のいずれかを認めた。また, MPTの58.3%に血液検査異常を認め, 総ビリルビン値, GOT, GPTの上昇が有意に多く認められた。一方, US所見では, 4mm以上の主膵管拡張および, 径 11mm以上あるいは多胞性嚢胞性腫瘤像がMPTに有意に多く認められ, MPTの拾い上げに有用と考えられた。
MPTの発見契機となった検査は全例USであり, MPTの50.0%は検診目的のUSにて発見されていることから, MPT発見向上のためにはUS検診が有用と思われた。

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