2004 年 42 巻 1 号 p. 25-32
胃X線検査時における体位変換時の自律神経活動の変動を評価するために, 健常成人12人に対し立位時 (90°head-uptilt, 以下HUT) および頭低位時 (-35°head-down tilt, 以下HDT) の心電図R-R間隔を検討した。ホルター心電図を, 安静時25分, 立位または頭低位時5分および再安静時25分間記録し, 心拍変動スペクトル解析を行った。立位および頭低位時のLFpower値およびLF/HF値は, 安静時および再安静時に比べ有意に増加した (p<0.05) 。また立位および頭低位時のHFpower値は, 安静時および再安静時に比べ有意に低下した (p<0.05) 。
HUTおよびHDTによる体位変換は, 交感神経活動の亢進および副交感神経活動の低下を引き起こしていると考えられる。交感神経活動の亢進および副交感神経活動の低下の催不整脈作用などが指摘されており, 高齢者や合併症を伴う被験者には, 体位変換時の傾斜角度や時間の軽減などの考慮が必要と考えられた。