2004 年 42 巻 4 号 p. 441-446
当施設では5mm未満の腺腫例に対し, 1~3年毎に全大腸内視鏡検査を行っていたが, より効率的に経過観察を行うため, 1997年度より, 5mm未満の隆起型で異型が中等度以下の腺腫例に対し, 5年後のTCSとその間に逐年の便潜血検査を行う方法で経過観察を始めた。この新しい方法を行った329例を従来の方法を行った454例 (1996年) や238例 (1997年) と2002年まで追跡し比較したところ, 両者の経過観察目的の全大腸内視鏡検査受診率に差は無く, その検査間隔は前者が約2年半で有意に長かった。また, 新しい方法で経過観察を行った症例の癌腫または5mm以上の腺腫が出現するリスクは, 1996年の症例の40%程度であった。以上より, 内視鏡・便潜血検査を併用した方法は検査精度を維持し, 受診者の負担の軽減をはかれることが示された。癌腫の出現する確率や対象症例の選出方法などは, 今後症例を蓄積し検討するべきである。