抄録
我々は, 便中K-ras遺伝子変異検出 (K-ras変異) と便中ラクトフェリン測定 (Lf) の大腸がん検診スクリーニング法としての利用を検討した。K-ras変異は, 健常対照では検出されなかったが, 31例の大腸癌から13例しか検出されず感度が不十分と考えられた。また, 工程も複雑で時間も長くスクリーニングに利用しにくいと考えられた。Lfは大腸癌に対して61.1%と50.0%の便潜血検査より感度が高く, 特に早期では3倍感度が高かった。また, 職域検診でのLfの陽性率は2.5%で3.3%の便潜血検査より低かったことから, Lfの利用で要精検率を下げながら, 癌の発見を多くできる可能性が示唆された。職域検診群でLfと便潜血検査が両方陽性の率は0.4%であつた。Lfは自動分析が可能で, 大腸がん検診スクリーニングでの利用が容易であると考えられた。