日本消化器集団検診学会雑誌
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新・胃X線撮影法(間接)に即した読影基準の試案
吉田 諭史馬場 保昌江頭 秀人長浜 隆司中島 寛隆山本 栄篤丸山 雅一佐藤 清二富樫 聖子小野 良樹
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2005 年 43 巻 4 号 p. 415-429

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抄録

X線読影基準の構築を目的に, 胃癌のX線的悪性像をもとにした所見分類と画像精度評価の定義を試みた。対象は東京都予防医学協会において新・撮影法が発見の契機となった胃癌のうち, 過去4年以内に間接X線検査が施行されていた108病変で, 内訳は早期癌83病変 (76.9%), 進行癌25病変 (23.1%) である。基準撮影像 (8体位8画像) と追加撮影像に分けて検討した。基準撮影像の検討では, 対象とした108病変中41病変 (38.0%) が悪性所見群に分類された。これは, 検討対象に早期癌が多いことと, 基準撮影のみでは病変描出に限界があることを示していよう。これに対して, 追加撮影が行われた43病変では25病変 (58.1%) が良性所見群から悪性所見群へ推移し, 追加撮影は有効であると思われた。追加撮影像を含めた胃X線所見再分類では, 悪性所見群は41病変 (38.0%) から60病変 (55.6%) と増加した。胃X線所見分類と画像精度評価分類の胃癌病変数には順位相関が見られ, 画像が良質のものでは正相関が認められた。以上より, 新. 撮影法と本読影基準試案は胃癌検診に有用であると思われた。

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