日本消化器集団検診学会雑誌
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腹部超音波検診におけるカテゴリー分類の検討
依田 芳起小林 一久榎本 信幸
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2006 年 44 巻 1 号 p. 12-20

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抄録

腹部超音波検診の判定で精密検査が必要と判定された症例に対し, 担当した超音波技師がカテゴリー分類を行い, その後の精密検査の結果とあわせて検討した。H.16年度に人間ドック及び巡回検診で腹部超音波検診を受診した66,553例について癌の可能性の有無を考慮しカテゴリーII~Vに分類した。カテゴリーIII~Vが要精密検査で557例 (0.84%) あった。内訳はカテゴリーIIIが504例, IVが29例, V が24例であった。カテゴリー別に発見された癌の症例数は, カテゴリーIIIから9例 (2%), IVから9 例 (31%), Vから9例 (37%) が発見され, カテゴリーが高いほど悪性腫瘍の発見率は高率であった。カテゴリーIIIと判定され, 悪性疾患であった症例は, 超音波所見の捉え方を正確に行えば, カテゴリーVと判定される症例であった。カテゴリーVと判定され, 良性疾患であった症例は4例認めた。経験年数の短い技師は, 悪性疾患に対し, カテゴリーを低く表示する傾向が見られた。カテゴリーVと判定され良性疾患であった症例は, 膵管内乳頭粘液性腫瘍や自己免疫性膵炎など稀な症例が多かった。

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