日本遺伝子診療学会誌
Online ISSN : 2759-6060
症例報告(最優秀賞)
司法解剖および死後遺伝学的検査で診断された血管型エーラス・ダンロス症候群の1例
山口 智美呂 彩子滝口 百合右田 王介古庄 知己
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2026 年 3 巻 2 号 p. 74-79

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抄録

血管型エーラス・ダンロス症候群(Ehlers-Danlos syndrome; EDS)は、結合組織の脆弱性を特徴とする遺伝性疾患であり、動脈病変などの致命的な合併症を生じる。小児期の一般的症状は、易出血性、薄い皮膚、小関節の過可動性である。動脈破裂・解離で初めて本疾患を疑われることもあり、また、診断が死後になることもある。今回、急性大動脈解離により突然死し、司法解剖および死後遺伝学的検査により診断に至った血管型EDSの17歳男性について報告する。

司法解剖により、皮膚脆弱性が確認され、EDSによる血管脆弱性に基づく急性腹部大動脈解離による腹腔内・後腹膜内出血により死亡したと診断された。死後に実施した次世代シークエンスパネル解析により、COL3A1においてACMG/AMPガイドライン上Likely pathogenicと判断されるバリアントが検出された。本症例は、幼少期に皮膚脆弱性のエピソードを有していたものの、動脈病変を生じるまで遺伝性疾患の存在を疑われたことはなかった。

突然死が起こりうる本疾患における死後遺伝学的検査は、遺族の理解と受容の支援のみならず、血縁者の診断および突然死予防、さらには本疾患の自然歴構築に貢献する有意義な試みであると考えられる。

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