2026 年 3 巻 2 号 p. 80-85
希少・遺伝性疾患は単一施設で十分な症例数を確保しにくく、未解決症例の類似症例探索や国際共同研究を推進するためには、施設・国境を越えた症例共有基盤の整備が重要である。本研究では、症例情報を各利用者のローカル環境で安全に管理しながら、国際標準に準拠した構造化と施設横断的な症例照合を両立する分散連携型システムCaseSharingを開発した。CaseSharingは、国際的に整備された語彙体系および識別子に基づいて症例情報を構造化・標準化し、症例記述を再利用可能な国際標準フォーマットへ変換・出力する機能を提供する。さらに、症例マッチング用途に限り、遺伝子名または疾患IDなど非個人識別情報のみをクラウド上の検索用データベースへ登録し、同一遺伝子・疾患を起点とした研究者間連携を可能とした。本システムは国内症例共有の接続点として、将来的には国際症例流通の基盤となることを目指す。