2022 年 40 巻 4 号 p. 237-245
子宮体部脱分化癌は,類内膜癌Grade 1,Grade 2に相当する腺癌に未分化癌が混在する上皮系悪性腫瘍で,2014年にWHO女性生殖器腫瘍分類第4版で新たに分類された極めて予後不良の疾患である1).今回,遠隔転移や多発する腫瘍塞栓を認め急速に進行した子宮体部脱分化癌の1例を経験したので,過去に報告された98症例のレビューも含めて報告する.
症例は50歳.不正性器出血を主訴に近医産婦人科を受診し,子宮悪性腫瘍が疑われ当院へ紹介となった.多発腫瘍塞栓を伴う子宮悪性腫瘍の診断のもと,血管外科と共同で腹式単純子宮全摘出術及び両側付属器切除術,下大静脈内の腫瘍塞栓摘出術を施行した.病理組織学的には,類内膜癌Grade 1,Grade 2相当の成分と核異型が高度で結合性に乏しい成分を認めた.後者の成分は,免疫組織化学染色で上皮系マーカーが陽性であり,未分化癌成分と考えられた.以上から,子宮脱分化癌,pT3bN2M1,IVB期と診断した.術後にパクリタキセル,カルボプラチンによる化学療法を施行するも不応であり,術後4カ月で死亡した.