日本婦人科腫瘍学会雑誌
Online ISSN : 2436-8156
Print ISSN : 1347-8559
40 巻, 4 号
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原著
  • 小池 真琴音, 塩見 真由, 寺田 美希子, 祝 小百合, 細井 文子, 西尾 幸浩, 香山 晋輔
    2022 年40 巻4 号 p. 237-245
    発行日: 2022/10/25
    公開日: 2023/07/27
    ジャーナル フリー

    子宮体部脱分化癌は,類内膜癌Grade 1,Grade 2に相当する腺癌に未分化癌が混在する上皮系悪性腫瘍で,2014年にWHO女性生殖器腫瘍分類第4版で新たに分類された極めて予後不良の疾患である1).今回,遠隔転移や多発する腫瘍塞栓を認め急速に進行した子宮体部脱分化癌の1例を経験したので,過去に報告された98症例のレビューも含めて報告する.

    症例は50歳.不正性器出血を主訴に近医産婦人科を受診し,子宮悪性腫瘍が疑われ当院へ紹介となった.多発腫瘍塞栓を伴う子宮悪性腫瘍の診断のもと,血管外科と共同で腹式単純子宮全摘出術及び両側付属器切除術,下大静脈内の腫瘍塞栓摘出術を施行した.病理組織学的には,類内膜癌Grade 1,Grade 2相当の成分と核異型が高度で結合性に乏しい成分を認めた.後者の成分は,免疫組織化学染色で上皮系マーカーが陽性であり,未分化癌成分と考えられた.以上から,子宮脱分化癌,pT3bN2M1,IVB期と診断した.術後にパクリタキセル,カルボプラチンによる化学療法を施行するも不応であり,術後4カ月で死亡した.

症例報告
  • 徳毛 敬三, 大道 千晶, 平松 祐司
    2022 年40 巻4 号 p. 246-251
    発行日: 2022/10/25
    公開日: 2023/07/27
    ジャーナル フリー

    がん患者に関節炎,筋肉痛,筋力低下などリウマチ様の症状を呈する病状をparaneoplastic Rheumatic syndrome(PRS)と呼ぶ.

    一方,腫瘍と離れた場所に多彩な症状を呈する腫瘍随伴症候群の中には,脳炎以外にも様々な症状をきたすことがある.この度,関節痛の精査中に卵巣奇形腫が見つかり,摘出後に症状が改善した腫瘍随伴症候群と推測される症例を経験したので報告する.

    18歳の女性.肩,膝,四肢の関節痛から歩行困難となり,入院精査となる.CT検査にて12 cmの左卵巣成熟奇形腫が認められた.腹腔鏡下手術により摘出後,関節痛などの自覚症状と炎症マーカーが改善した.

    術後3年8カ月経過し,関節痛などの症状はなく経過良好である.

    卵巣奇形腫は脳炎をはじめいろいろな臓器に随伴症状を来すことが報告されており,原因不明の関節痛を認めた場合,卵巣腫瘍による腫瘍随伴症状の可能性も念頭にスクリーニングを行うことが大切であると考えられた.

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