日本婦人科腫瘍学会雑誌
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症例報告
多発関節痛を併発した卵巣奇形腫の1例
徳毛 敬三大道 千晶平松 祐司
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2022 年 40 巻 4 号 p. 246-251

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抄録

がん患者に関節炎,筋肉痛,筋力低下などリウマチ様の症状を呈する病状をparaneoplastic Rheumatic syndrome(PRS)と呼ぶ.

一方,腫瘍と離れた場所に多彩な症状を呈する腫瘍随伴症候群の中には,脳炎以外にも様々な症状をきたすことがある.この度,関節痛の精査中に卵巣奇形腫が見つかり,摘出後に症状が改善した腫瘍随伴症候群と推測される症例を経験したので報告する.

18歳の女性.肩,膝,四肢の関節痛から歩行困難となり,入院精査となる.CT検査にて12 cmの左卵巣成熟奇形腫が認められた.腹腔鏡下手術により摘出後,関節痛などの自覚症状と炎症マーカーが改善した.

術後3年8カ月経過し,関節痛などの症状はなく経過良好である.

卵巣奇形腫は脳炎をはじめいろいろな臓器に随伴症状を来すことが報告されており,原因不明の関節痛を認めた場合,卵巣腫瘍による腫瘍随伴症状の可能性も念頭にスクリーニングを行うことが大切であると考えられた.

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© 2022 日本婦人科腫瘍学会
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