2023 年 41 巻 1 号 p. 1-9
【目的】近年,ショートハイドレーション法(SH法)を用いたシスプラチン(CDDP)投与法に関し安全性を示した多数の報告がある.しかし婦人科領域における同様の報告は少ない.今回,当院の子宮体癌におけるCDDPのSH法に関する安全性について検討した.
【方法】2017年1月から2021年12月までの期間,当院で子宮体癌に対しドキソルビシン(ADR)とCDDPの併用レジメン(AP療法)を用いた症例のうち,CDDPのSH法を使用した群(SH群)16例と,SH法を使用しなかった群(non-SH群)21例を対象とし,安全性について,有害事象共通用語規準を用いて腎機能などを後方視的に検討した.なお,SH群では輸液量を約1,500 mL,輸液時間を約4時間とし,non-SH群では輸液量を約8,000 mL,輸液時間を約20時間とした.またP値<0.05を統計学的有意差ありとした.
【成績】両群間で,年齢,体表面積,治療前血清Cr値,クレアチニンクレアランス(CCr),CDDP投与量に有意差はなかった.治療後の血清Cr値上昇値,CCr下降値に有意差はなく,また両群共に腎機能,消化器症状におけるgrade 2以上の有害事象はなかった.なお,SH群では5例が外来移行し得た.
【結論】婦人科領域においてもCDDPのSH法は安全に導入でき,また投与時間が短縮されるため患者・医療者共に負担が低減される可能性があることが示唆された.