2023 年 42 巻 3 号 p. 285-291
概要:子宮頸癌において初回治療で放射線照射歴のある症例では,再発した場合その場所が照射野内か照射野外かが治療法の選択ならびに予後に重要である.照射野内の再発部位への再照射は,合併症等から限定的であり,その他の有効な治療法が限られるため生存期間が短い.選択される治療法は化学療法が中心であり,近年では免疫チェックポイント阻害薬が有効な薬剤として注目されている.手術療法はあくまでも限定的であり,骨盤除臓術,salvage hysterectomy+lymphadenectomyやsalvage lymphadenectomyなどが報告されている.骨盤除臓術はある程度の根治性は担保されるものの,患者への侵襲,機能損失が大きい術式であり,限られた症例にのみ適応となる.一方でsalvage hysterectomy+lymphadenectomy,lymphadenectomyは報告例も少なく,根治性よりもQOLを重視した治療法といえる.今回われわれは,子宮頸癌の照射野内リンパ節再発に対して,腫瘍の摘出のみを目的とする外科的介入を行い,患者への侵襲を軽減しなおかつ良好な結果を得られた5症例を経験したので報告する.