日本婦人科腫瘍学会雑誌
Online ISSN : 2436-8156
Print ISSN : 1347-8559
症例報告
Low-dose etoposide cisplatin療法で治療した高齢絨毛癌の一例
中村 名律子碓井 宏和片山 恵里大塚 聡代佐藤 明日香奥谷 理恵羽生 裕二松岡 歩錦見 恭子楯 真一生水 真紀夫松坂 恵介甲賀 かをり
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2024 年 42 巻 4 号 p. 301-309

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抄録

概要:【緒言】Low-dose etoposide cisplatin(EP)療法は,全身状態不良な絨毛癌に初回治療時の化学療法関連死亡回避を目的として行う導入化学療法である.高齢のためLow-dose EP療法を施行した絨毛癌例を報告する.【症例】80歳,2妊2産.前医で子宮肉腫の疑いで単純子宮全摘術・両側付属器切除が施行されたが,直腸漿膜面の腫瘍が残存した.術後下血と下腹部痛が出現した.病理検査で卵巣絨毛癌と診断され,当院へ転院となった.造影CTで長径16 cmの骨盤内腫瘤,多発肺転移,肝転移等を認めた.Low-dose EP療法を開始し,6サイクル終了時点で退院とした.18サイクル終了後に血清hCG値が1 mIU/mL未満となり,22サイクル終了後に残存腫瘍を摘出した.その後寛解を維持している.【考察】絨毛癌患者の多くは若年であり,有害事象を伴う多剤併用化学療法レジメンの遂行が可能である.本例は80歳と高齢であり,標準的なレジメンはリスクが高いと判断した.Low-dose EP療法を長期に継続したところ奏効した.高齢患者ではintensityを押さえた治療継続も選択肢と考えられた.

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