2025 年 43 巻 2 号 p. 72-77
概要:【背景】子宮内膜症の骨盤リンパ節への転移はしばしば認められるが同部位のみで悪性化する病態は稀である.
【症例】今回我々は卵巣癌を疑いステージング手術を施行したが,子宮と付属器には癌病変を認めず孤立性にリンパ節に扁平上皮分化を伴う類内膜癌(Grade 3)を認めた症例を経験した.両側付属器からは内膜症病巣が検出され子宮頸部にはCIN3病変を認めたがリンパ節転移をきたす病変とは考えられなかった.患者は過去に両側卵巣内膜症病巣を経腟的にアルコール固定した既往があった.腹腔内子宮内膜症病巣がリンパ節にて悪性化し扁平上皮分化した可能性が考えられた.
【結論】子宮卵巣には悪性所見がなくリンパ節に単独で転移した子宮内膜症病巣が悪性化し類内膜癌に完全置換したと推察される稀な病態と考えられたため文献的考察を含めて報告する.