日本婦人科腫瘍学会雑誌
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症例報告
子宮体癌手術中の大量出血を契機に診断された血管型Ehlers-Danlos症候群の一例
近藤 有紀大島 乃里子鍔田 芙実子郡 悠介尾臺 珠美若菜 公雄宮坂 尚幸
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2026 年 44 巻 2 号 p. 173-178

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抄録

概要:血管型Ehlers-Danlos症候群(vascular Ehlers-Danlos syndrome:vEDS)III型コラーゲン遺伝子(COL3A1)の異常により血管や臓器の脆弱性を特徴とする希少疾患である.子宮体癌に対する手術中の大量出血を契機にvEDSと診断された症例を経験したので報告する.46歳,0妊0産.子宮体癌に対する開腹手術中,末梢血管の破綻による出血を頻回に認めた.特に骨盤リンパ節郭清中,左総腸骨静脈および右内腸骨静脈分枝の破綻による出血量が著明であったため,傍大動脈リンパ節郭清を中止し手術を終了した.出血量は6,720 mLで,大量の輸血を要した.術後診断は子宮体癌IIIA期,類内膜癌Grade 1だった.術中の出血傾向から基礎疾患の存在が示唆され,繰り返す皮下出血のエピソードから結合織異常が鑑別に挙げられた.遺伝子検査によりCOL3A1遺伝子変異を認めvEDSと診断された.vEDSは特異的所見に乏しく,術前診断が困難なことも多いが,術中に組織脆弱性を認めた場合は本疾患を鑑別に挙げることが重要である.また,術中に血管脆弱性が示唆された場合には,術式の変更を含めた迅速かつ柔軟な対応が求められる.

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