日本婦人科腫瘍学会雑誌
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シンポジウム1
AI時代のリンパ浮腫診療~センチネルリンパ節生検導入後の早期診断と治療戦略~
三原 誠原 尚子岩永 洋平
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2026 年 44 巻 2 号 p. 58-69

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抄録

概要:婦人科がん術後のリンパ浮腫は,患者の生活の質を大きく下げる重要な合併症である.本総説では,私たちが世界で初めて報告したリンパ節郭清後に起こるリンパ浮腫の病態である「リンパ管硬化」をわかりやすく整理し,その理解を深める視点を示す.また,私どもが実施したローマ大学・オックスフォード大学との国際共同研究および,無作為化比較試験により,リンパ管静脈吻合術(LVA)が蜂窩織炎の発症を優位に抑制することについて,最新の形成外科領域のエビデンスを踏まえ,早期治療の重要性を強調する.順天堂大学と行った特定臨床研究(GLYM)では,リンパ流異常(異常所見検出)が自覚症状より先に検出されることが示され,ICGリンパ造影やリンパシンチの早期診断としての有用性が再確認された.骨盤内リンパ節郭清,放射線治療,肥満などの高リスク例では,早期の画像評価と専門医への紹介が望ましい.近年普及するリンパ管エコーは診断と術前評価を容易にし,LVAの精度を高める.センチネルリンパ節生検によりリンパ浮腫発症は減少しているが,早期診断・治療で患者の生活の質を維持できる.加えて,リンパ外科領域におけるAIや手術支援ロボットの導入や発展についても述べる.

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