日本婦人科腫瘍学会雑誌
Online ISSN : 2436-8156
Print ISSN : 1347-8559
症例報告
原発性腹膜癌に対してベバシズマブ併用化学療法中に心室内血栓および心不全を起こした一例
劉 璟壬大原 樹石井 雅人今井 悠金森 玲遠藤 拓竹内 淳近藤 春裕久慈 志保戸澤 晃子鈴木 直
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2026 年 44 巻 3 号 p. 203-210

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抄録

概要:今回我々はベバシズマブ併用化学療法中に心室内血栓および心不全を起こした症例を経験したので報告する.症例は55歳,3妊3産.MRI検査,FDG-PET/CT検査で腹膜播種性病変,左傍胸骨リンパ節への転移を疑った.審査腹腔鏡にて腹膜生検を施行し,高異型度漿液性癌であった.原発性腹膜癌IIIC,cT3cNxM0と診断し,術前化学療法としてベバシズマブ併用化学療法を4サイクル施行し,PRが得られた.インターバル腫瘍減量手術を施行し,腫瘍の完全摘出が可能であった.術後,維持化学療法44日目のCT検査にて右室内に33×8 mm大の陰影欠損を認め,心室内血栓と診断した.また,G4の駆出率減少,G3の左室収縮機能障害,G3の右室機能障害を認めた.入院管理とし,抗凝固療法,心不全の治療を開始した.治療開始より42日目の心エコーにて心室内血栓は消失し,駆出率は30%まで改善を認めた.ベバシズマブ併用化学療法中に心室内血栓を認めることは稀であるが,全身状態の悪化のため化学療法の継続が困難となることから早急な診断と治療開始が望まれる.

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